Thursday, January 11, 2007

大磯駅(東海道線)
夜、東海道線のくだり電車に乗ると大船、藤沢、茅ヶ崎、そして平塚と似たような橋上駅が続きます。ところが大磯駅についてドアが開くと、ぽっかりと暗闇が開きます。ホームの屋根も半分ほどしかなく妙に暗い線路際、そう、この駅には野立て看板がいっさいないのです。だから夜は真っ暗。かつて、大磯に住む文人たちが広告看板排斥運動をしてぜんぶ撤去させたという話。大磯駅舎は古く、大正14年に三代目駅舎として建てられたままです。ところで、大磯駅にはエスカレーターもエレベーターもなく、古レールで作った古色蒼然とした跨線橋があるだけです。バリアフリー化は著しく遅れて、ようやく工事が始まったところです。なぜ遅れたかというと、工事に必要な町の予算が町議会で否決されてしまったからです(ぎりぎりで修正可決)。地元にはどうしても橋上化した新駅舎を作りたい人たちがいて、現駅舎を生かしたかたちでバリアフリー化されると改築の理由が無くなってしまうからです。駅舎改築となると周辺の都市計画も含めた大規模な開発になるので、さまざまな利権を持っている層にはとても魅力的な案件なのでしょう。でも、大磯駅を利用する多くの人は少し不便でもこの端正な駅舎のままでいて欲しいと願っています。初夏になるとツバメが駅に巣を作って“爆弾”が落ちそうなところには『ツバメ子育て中』の短冊が下がります。跨線橋には海岸方面の案内に『for beach』と書かれています。駅前の横断歩道に信号すらありません。人もツバメもクルマも折り合いをつけて共存しています。これからもずっと、扉が開くと真っ暗な大磯駅でいて欲しいと思います。

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